中性子科学研究施設について
活動の概要
中性子科学研究施設は東京大学物性研究所の附属施設として原子炉や加速器から取り出される中性子ビームを利用した物質科学研究を行っています。中性子ビームは水素やリチウムなどの軽い元素に対する高い感度や、物質中の磁気モーメント(微小磁石)の方向検知能力などのユニークな特徴を有しており、現代の物質科学に欠かせない研究ツールです。
中性子科学研究施設では東北大学・京都大学等と共同で日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究用原子炉 JRR-3 に12 台の中性子散乱装置を設置し、我が国のみならず世界の中性子研究者に実験機会を提供するとともに、中性子科学研究施設のスタッフメンバーによる世界を先導する物質科学研究を展開しています。
大強度陽子加速器施設 J-PARC においては、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と共同運営する高分解能チョッパー分光器(HRC)をもちいた研究活動と共同利用も推進しています。
国際的には、日米協力事業「中性子散乱分野」の実施機関として、米国オークリッジ国立研究所(ORNL) HFIR 原子炉に冷中性子三軸分光器 CTAX を設置し、それを用いた日米共同研究を強力に推進しています。
我が国の将来を見据え福井県に新試験研究炉が建設されることになり、その準備が着々と進んでいます。中性子散乱は新試験研究炉計画における中心的利用の一つです。我々は新型試験研究炉計画に全面的に協力し、新しい時代の中性子散乱を切り拓くべく活動を推進しています。
中性子科学研究施設の目指すところ
原子炉・加速器等の多様な中性子ビームを活用し新時代の物質科学研究・中性子科学研究切り拓くことで、現代科学に残る未解決難問や人類の直面する社会課題の解決に貢献します。
原子炉中性子散乱研究の一大拠点として、我が国ならびに世界の中性子コミュニティーの中核を担います。
日米協力事業「中性子散乱分野」を中核に置いた上でさらなる多国間国際連携を構築し、国際コミュニティーの一員としての責任を果たします。